2019.1.9 お経

お経とは、仏さまの教え、悟りについて、書かれてあるものです。ですから、読んで内容を理解すれば心が平穏、満足、幸せになります。といってもお経は漢字ばかりでわかりにくいものですから、昔から偉いお坊さんはお経の内容を在家(ざいけ)の方々へお話され、理解しやすいように説かれました。お寺のお堂に祀られる仏像にお経を読みお唱えすることで、功徳(くどく)というポイントを積むことができるとされました。僧侶は朝や暮れにお堂でお勤めをして自らが悟りに至るように、檀信徒の先祖供養や願い事の成就のために、お経を唱えてお祈りします。また、法事やお葬式の際など、亡くなった方へお経を読み聞かせることによって、故人の心、魂を安らかにさせます。あるお家で、私がお仏壇の前でお経を唱えていると、後ろでいつもうとうと眠られる方がいらっしゃいます。その方がおっしゃるには、「和尚のお経を聞いていると、気持ちがよくなってきて寝てしまう」ということでした。お経には、亡くなられた方だけでなく、生きている人にも音やリズムが良い心地になるのでしょうか、安らかにさせる力があるのかもしれません。

 

お経は、意味を理解することで、実際に役に立つものでもあります。よく知られている「般若心経」は我々が持つ執着を除こうと思わせてくれ、私たちを含む万物は仏であることを自覚させます。また、写経しても徳が積めますし、お守りとして携帯すると災いを除くともされます。お経は私たちの心を安らにするものであり、「悟りへと導くガイドブック」なのです。

 

多くの方にとって、仏教やお経というものは、亡くなってからお付き合いが始まるものと思われるかもしれませんが、本来は生きているうちに少しでも多く、仏の教えに触れておくのがお得です。実際に毎日を生活する上で、心穏やかに、苦しみ少なく、幸せを感じながら過ごすことができるでしょう。

 

僧侶は、亡くなった方にお経を唱えることだけが仕事なのではなく、生きている人々にもお話をするのも大切な仕事です。

「仏さまの教えが皆さまの人生で役に立つように」と大きなことは言えません。自分が学んだことをメモする備忘録として、いろいろとこちらに書いていきたいと思います。